えっちらおっちら えっちらおっちら
竹の背負いかごを運ぶ ウサギたち
えっちらおっちら えっちらおっちら
藤の花かごをくわえて跳ねる カエルたち
どこへ行くの？
昨夜の満月を見ただろう？
その月明かりの下で新しい命が産まれたんだ。
元気な産声を聞いただろう？
お祝いの品を届けるのさ。
野を超え 山を越え えっちらおっちら
背負いかごも花かごも空っぽです
お祝いの品は入っていませんが？
いいかい？
赤ちゃんは両手に空の花かご、
背中に空の背負いかごをしょって
大きくなっていくんだ。
だぁれも、赤ちゃん自身も
花かごや背負いかごに気付かないんだけれど
産まれてきたみんなが
このプレゼントを受け取っているのさ。
カエルが得意げに答えます
続けてウサギが嬉しそうに話します
「ありがとう」って言葉があるでしょう？
「ありがとう」の言葉や気持ちは
一輪の花に生まれ変わるの。
誰かにあげた優しさは一輪の花になって
背負いかごや花かごの中に戻ってくるのよ。
赤ちゃんの笑顔はみんなを幸せにするから
それも花になってかごに入るの。
もちろん、大人の笑顔もね！
なるほど
そういうわけで、かごは空っぽなのですね
かごを花でいっぱいにするのは
簡単なことじゃないよ。
背中のかごは大きいし、
うっかり転んでしまえば
両手のかごから花がこぼれ落ちる。
それにそもそも優しさってもんは難しい。
悲しみに暮れて
優しくなれないこともあるしね。
一生をかけて花でかごをいっぱいにしていくのさ。
腕組みカエルは物知り顔
あのね！かごが花いっぱいになったらね！
ウサギはしゃべりたくてたまりません
あのね！かごが花いっぱいになったらね！
背負いかごは真っ白な羽になるんだよ！
右手の花かごは明るいランプになって
左手の花かごは柔らかな布になるの！
カエルも負けずにしゃべりたいようです
真っ白な羽は心を自由にするのさ。
一輪の花になって戻ってきた優しさは
心を強くしなやかにする。
大空に羽ばたく逞しい羽になるんだ。
たくさんの花の香りは
心を穏やかにするだろう？
心が落ち着いてくると頭の回転が良くなったり
冷静さが発揮されて
物事が良く見えるようになる。
それが、ランプさ。
道を進むには大切なアイテムだ！
誰かに与えた優しさはね、
周りまわって優しさとして戻ってくるの。
小さな優しさも大きな優しさも
戻って集まって柔らかい布になって
心身を温め守ってくれるのよ。
なみだも…拭ってくれるしね。
ピョンピョンとウサギが飛び跳ねます
あぁ、少し喋り過ぎちゃった！
お祝いの品をお届けしないと！
えっちらおっちら えっちらおっちら
野を超え 山を越え えっちらおっちら
